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東京家庭裁判所 昭和42年(少ハ)2号 決定 1968年2月17日

本人 G・A(昭二三・二・一四生)

主文

本人を昭和四三年二月一四日から同月二二日まで特別少年院に継続して収容することができる。

理由

本件本人は昭和四二年七月二四日東京家庭裁判所で同日から昭和四三年二月一三日まで特別少年院に戻して収容する旨の決定を受け、昭和四二年七月二五日久里浜少年院に収容された。本人は右入院以来反則事故がなく、その成績は向上しつつあり、目下一級下の段階にある。日常生活の面で、まだ我儘な点が指摘されているが、本人は反省をしているようである。心身の状況については、知能指数九九(新制田中B式第一)で、性格は明るく楽天的であるが、自己中心的でかつ虚栄心が強いものである。体力は中位で、現在著患はない。退院後の受入環境については、保護者である父が、神奈川県高座郡○○町に居住し、母、兄、姉が同居しており、本人を引取る意志は積極的に持つており、本人の受入は可能であり、問題はない。

本人は上記のとおり昭和四三年二月一三日で収容期間が満了するのであるが、本人は目下自動車運転免許(普通)試験を受けるべく勉強中であり、同年三月中に施行される当院内での右試験に応試して、同免許を受け、退院後は自動車運転業務に従事したい希望を持つており、本人のこの希望を達成させることは本人の今後の更生に有効と思われるとの理由で、昭和四三年二月一二日少年院法第一一条第二項により、同少年院の長から収容期間満了後同年三月一〇日まで本人を継続して収容する旨の決定の本申請がなされた。

そこで久里浜少年院長川島真一作成の収容継続決定申請書、同少年院分類保護課長成瀬正房の供述、当庁調査官鈴木正枝の意見、本人の供述その他本件記録を綜合して勘案すると、本人には本件収容継続決定申請書に挙げられた実状が認められる。本人は上記記載のとおり一応矯正教育の効果を挙げているようであり、上記自動車運転免許を受験する事情を考慮すれば本人の収容継続を相当と考える。そしてその期間は上記事情を参酌して、満了の日である昭和四三年二月一三日の翌日から同月二二日までを相当と認めるので、少年院法第一一条第四項、少年審判規則第五五条を適用して主文のとおり決定する。

(裁判官 中西孝)

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